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横浜地方裁判所 平成元年(ワ)3142号 判決 1991年2月15日

原告

逗子市長

富野暉一郎

右訴訟代理人弁護士

中平健吉

花田政道

中川明

秋山幹男

中平望

被告

右代表者法務大臣

梶山静六

右指定代理人

渡邉等

外一六名

主文

一  本件訴えをいずれも却下する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、河川法九五条に基づく原告との協議が成立するまで、逗子市うるし作一八〇六番ほか別紙図面記載の土地において、池子米軍家族住宅建設事業計画に伴う仮設調整池設置工事をしてはならない。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

(本案前の答弁)

主文同旨

(本案の答弁)

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

(一) 原告は、河川法一〇〇条一項によりいわゆる準用河川に指定されている池子川(区間、左岸側―起点逗子市桜山一丁目一番地先(田越川合流点)、終点逗子市池子四丁目一〇八五番地先。右岸側―起点逗子市桜山一丁目一二番地のイ―1先(田越川合流点)、終点逗子市池子四丁目一〇七〇番地の一先)の河川管理者である。

(二) 被告は、逗子市うるし作一八〇六番ほか別紙図面記載の土地で行っているいわゆる池子米軍家族住宅建設事業(以下「池子米軍家族住宅建設事業」という)計画に伴う仮設調整池設置工事(以下「本件工事」という)の事業主体である。

2  本件工事

(一) 逗子市所在のいわゆる米軍池子弾薬庫跡地二九〇ヘクタール(以下「池子弾薬庫跡地」という)は、昭和一三年、旧日本帝国海軍により逗子市内の民有地の強制買収によって海軍補助施設が設置されていたものを、そのまま第二次世界大戦後アメリカ合衆国軍隊の管理下におかれたものである。しかし、ベトナム戦争後は弾薬庫として使用されなくなり、遊休化していた。

(二) 被告の行政機関である横浜防衛施設局長は、昭和五七年八月二六日、当時の逗子市長訴外三島虎好に対し、逗子市所在のいわゆる池子住宅地区及び池子弾薬庫跡地を米軍家族住宅建設の有力な候補地として、工事計画及び環境影響評価のため調査を進める旨を通知し、次いで、同六〇年三月二八日、神奈川県知事に対し、神奈川県環境影響評価条例に基づく環境影響予測評価書案を提出し、アセスメントの手続きが開始された。そして、同六二年一月二二日には、神奈川県環境影響評価審査会が右予測評価書案の審査結果を同知事に答申し、同知事は、同六二年二月二四日、横浜防衛施設局長に対し、神奈川県環境影響評価審査会の審査結果に基づく右評価書案に係る審査書を送付し、同局長は、同年九月八日、同知事に対し、池子米軍家族住宅建設事業環境影響予測評価書を提出した。

(三) 右審査書及び評価書に基づき、池子米軍家族住宅建設事業においては、池子川の洪水対策のために、防災調整池設置及び池子川付替工事の実施が必要となったため、横浜防衛施設局長は、昭和六二年一二月二五日、池子川の河川管理者である原告に対し、右防災調整池設置及び池子川付替工事につき、河川法八条の河川工事に該当するものとして、同法九五条、二〇条による協議を申し入れたが、右協議は未だ成立していない。

(四) ところが、横浜防衛施設局長は、原告との間の右協議が進展しないため、右防災調整池設置予定地に一方的に仮設調整池を設置することを決定し、平成元年四月一七日、神奈川県知事に対し、池子米軍家族住宅建設事業に係る環境影響予測評価書変更届を提出し、同年五月九日、同知事から右変更の許可を得て、同年九月一九日、本件工事に着手した。

3  本件工事の違法性

(一) 本件工事は、右防災調整池設置及び池子川付替工事計画のうち、単に池子川に直接関わる部分を除いたものに過ぎず、その余は右計画と同様である。すなわち、本件工事は、右防災調整池と同一場所に、ほぼ同一の調整池を設置し、右防災調整池と同様、配水管で池子川に接続し、降雨時に池子川に流入する水量を調節して池子川の水害を防止しようとするものである。

(二) したがって、本件工事は、右防災調整池設置及び池子川付替工事と同様河川法八条の河川工事に該当するものであり、被告は、池子川の河川管理者である原告との間に同法九五条、二〇条の協議が成立しないかぎり、本件工事を行ってはならないのである。

4  本件工事中止命令

(一) そこで、原告は、横浜防衛施設局長に対し、平成元年九月二〇日付元逗発一〇九三号命令書により、河川法七五条一項一号に基づいて本件工事の中止を命令した。

ところが、被告は右中止命令を無視して本件工事を続行し、本件工事を中止すべき義務を履行しない。

(二) ところで、河川法には、右工事中止命令に従わない場合に行政上これを強制的に履行させるための規定がなく、また、その性質上、行政代執行法上の代執行によって強制的に履行させることもできない。

右のような場合、行政上の義務である右工事中止義務の履行を求めて、裁判所に民事訴訟を提起することができるものと解すべきである。

5  河川管理権に基づく妨害予防ないし妨害排除請求

(一) 原告は、河川法の定める河川管理者として、池子川について全面的な管理支配権を有しているところ、その河川管理権は、所有権に代わる河川や河川区域の占有・支配権とみることができ、民法上の所有権または占有権類似の権利として、河川管理者は、違法な侵害者に対して妨害予防ないし妨害排除請求権を有するものというべきである。

(二) 被告の横浜防衛施設局長は、前記のとおり、違法に本件工事を行っている。

6  よって、原告は、被告に対し、主位的に、河川法七五条一項一号に基づいて命じた本件工事中止義務の履行請求として、予備的に、本件河川管理権に基づく妨害予防ないし妨害排除請求として、同法九五条に基づく原告との協議が成立するまで、本件工事の中止を求める。

二  被告の本案前の主張―本件各訴えの不適法性

1  河川管理

河川は国の公共用物であり、河川管理は、河川について、洪水、高潮等による災害発生の防止、適正な利用及び流水の正常な機能の維持を図るためのものであるから、一つの地方公共団体の住民の利害にとらわれることなく、国民的視野に立った総合的な管理が要請されるものであり、本来的に国の事務である。

そこで、二級河川については都道府県知事が、いわゆる準用河川については市町村長が、それぞれ河川管理者とされているが、それらの管理は、いずれも国からの機関委任事務であるとされているのである。

そして、都道府県知事及び市町村長は、河川管理という国の事務について、国の機関としての地位に立って、その事務を処理し、その場合、都道府県知事にあっては主務大臣である建設大臣、市町村長にあっては都道府県知事及び主務大臣である建設大臣の指揮監督を受けなければならない。

これを本件についていえば、いわゆる準用河川である池子川の管理は国の事務であって、原告は国の機関委任事務として池子川の管理を行っているものといわなければならない。

2  法律上の争訟性

本件訴訟は、いわゆる準用河川である池子川の管理という国の機関委任事務の処理をめぐって、被告の機関の地位に立つ原告が、同じく被告の機関である横浜防衛施設局長がその権限に基づいて行っている本件工事に関して、その事業主体である被告を相手方とするものである。

すなわち、本件訴訟は、形式的には国とその機関との間の紛争であり、国とその機関との間に司法審査の対象となりうるような権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争はありえず、法律上の争訟性を欠くものである。

また、本件訴訟は、実質的には、いずれも一個の法主体としての国の機関である原告及び右横浜防衛施設局長の、河川法の解釈適用をめぐる紛争にほかならない。このような紛争は、国の行政府内部の見解の相違に基づく意見の対立であって、各省庁間の調整により、最終的には国の行政権の属する内閣の責任と権限により、その解決が図られるべき事柄であり、司法機関において解決されるべき「法律上の争訟(裁判所法三条一項)」にはあたらないものというべきである。

3  機関訴訟

機関訴訟は、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいい、法律に定めのある場合において、法律に定める者に限り、訴えを提起することができるものであるが、本件訴えは、右機関訴訟に該当するところ、法律に定めがなく、訴えを提起することはできないものである。

4  したがって、本件訴えは訴訟要件を欠く不適法なものというべきである。

三  被告の本案前の主張に対する原告の答弁

1  いわゆる準用河川の河川管理と原告の地位の独自性

いわゆる普通河川の管理は、流域の住民の生活や福祉に深く結び付いたものであることから、その流域の地方公共団体の固有の事務とされているが、いわゆる普通河川につき、市町村長がいわゆる準用河川に指定すると、その管理は国の機関委任事務となる。これは市町村長に河川法による河川管理者としての規制権限を付与するための便宜的制度であり、いわゆる準用河川の管理費用は全額市町村の負担とされていることを併せ考えると、その管理は、本来的に国の事務とはいえず、実質上、いわゆる普通河川と同様、市町村の固有事務であると考えるべきである。

これを本件についていえば、池子川は、逗子市鷹取山に源を発し逗子市内で田越川に合流する河川であり、その流域はすべて逗子市内にあり、専ら逗子市の住民の生活や福祉に関係があるという意味において逗子市が管理するにふさわしいものであること、池子川の管理に要する費用も逗子市が負担してきたものであることから、池子川の管理は、国からの機関委任事務とされているが、実質的には逗子市の事務である。

2  機関委任事務と原告の法律上の地位の独自性

市町村長は、国からの機関委任事務としていわゆる準用河川を管理するが、地方住民の選挙によって選任され、本来国に対しては自主独立した地位にあり、また、右事務の処理にあたって、国の指揮監督を受けるが、右指揮監督は国本来の行政機関内部における指揮監督と比べて、職務執行命令訴訟の制度(地方自治法一四六条)の採用等一定の制約を受けていることからも明らかなように、国の機関委任事務を行う地方公共団体の長の地位は、上命下服の関係にある国の本来の行政機関とは基本的に異なり、自主独立性が保障されているのである。

3  原告と被告との法律上の関係

河川法九五条によれば、国が事業主体として河川工事等を行うにあたっては、事前に河川管理者と河川工事等を実施する国の行政庁との協議が成立することを要するものとされているところ、これは、事業主体としての国にも河川管理者の河川管理権限が及ぶことを予定しているものである。

すなわち、本件においては、原告は、公行政の主体である国の行政機関としていわゆる準用河川である池子川の管理権限を行使するのに対し、被告は、行政主体としてではなく事業主体として本件工事を実施するのであるから、基本的には私人と同様に原告の管理権限に服すべき立場にあるものといわなければならない。

このように、一方は監督行政の主体であり、他方はこの監督行政に服すべき事業主体であるから、両者は法律上の性質を異にする独立した二つの法主体間の関係であって、同一の法主体内部の関係には立たないというべきである。

4  以上より、原告と被告とは独立した当事者であり、相互に独立固有の法的利益を主張して対立するものであって、本件訴えは、法律上の争訟にあたるものというべきである。

第三  証拠<省略>

理由

第一本件は、いわゆる準用河川である池子川の河川管理者としての原告が、その管理権限に基づき、本件工事の事業主体である被告に対し、主位的に、河川法七五条一項一号に基づいて命じた本件工事中止義務の履行を、予備的に、本件河川管理権に基づく妨害予防ないし妨害排除を、それぞれ請求するものであるところ、これに対し、被告は、本件訴えは、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらないと主張して、本件訴えの却下を求めている。

ところで、裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」、すなわち、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、法令の適用により終局的に解決することのできるものに限られる。

そこで、原告のいわゆる準用河川である池子川の河川管理に関する被告との本件紛争が、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたるか否かについて以下判断する。

一河川管理

1 河川法一条は、河川法の目的につき、河川について、洪水高潮等による災害発生の防止、適正な利用及び流水の正常な機能の維持を図るため、総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もって、公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする旨規定している。

そして、河川法は、河川の水系(山間の渓流、湧水地等から海に至るまでの水の流下する系統)を、その重要度によって、一級河川の水系、二級河川の水系、その他の水系に区分し、水系一貫管理の考え方をとっている。

すなわち、河川法の目的を達成するためには、水系を一貫した治水利水対策並びに各水系について広域的な見地に立った水資源の総合的な利用及び開発を図る必要があるため、その管理は総合的に行われることが必要であり、河川管理は、本来的に国の事務と解すべきである。

2  そこで、河川法五条一項規定の二級河川については都道府県知事が河川管理者とされ(同法一〇条)、いわゆる準用河川については市町村長が河川管理者とされているが(同法一〇〇条一項)、それらの管理は、いずれも国からの機関委任事務であるとされているのである(地方自治法一四八条二、三項、別表第三の一の一一一、第四の二の四五)。

3  ところで、原告は、流域住民の生活や福祉といわゆる準用河川との深い結び付き及びいわゆる普通河川の管理が市町村の事務であること、右準用河川の管理費用が市町村の負担となっていること等の点を挙げて、同河川の管理は、本来的には国の事務ではなく、実質的には市町村の事務であるから、原告の同河川である池子川に対する管理は、固有の利益をもって、被告から独立して行うものである旨主張する。

しかし、いわゆる準用河川は、一級河川又は二級河川以外の河川で市町村長が指定するものであるから、その指定対象となるものは、一級水系のうち一級河川に指定された河川の区間以外の区間、二級水系のうち二級河川に指定された河川の区間以外の区間及び一級水系または二級水系以外の水系に属する河川であって、必ずしも当該市町村住民のみにしか利害関係を生じない水系に限定されるものではなく、原告の主張によれば、池子川も、二級水系にあって二級河川である田越川に合流しているというのであるから、池子川の管理は、右田越川の河川管理と総合調整の上、実施されなければならないものというべきである。

また、水系の重要度に応じて河川管理の内容を定めている河川法の趣旨からすれば、同法の適用外のいわゆる普通河川といわゆる準用河川とを水系の重要度及びその管理の仕方において同一と考えることはできない。

さらに、管理費用の負担についても、これは、受益の厚薄に応じて定められているものであって、河川管理権の帰属に関わるものではない。

以上の点と、前記河川法の目的、水系一貫管理の理念に基づく河川管理の性質等を併せ考えれば、原告の右主張は到底採用することはできない。

二機関委任事務

1 前記のとおり、河川管理は本来的に国の事務であり、二級河川について都道府県知事が、いわゆる準用河川について市町村長が、それぞれ行う河川管理は、いずれも国からの機関委任事務である。

すなわち、都道府県知事及び市町村長は、河川管理という国の事務について、国の機関としての地位に立って、その事務を処理し、その場合、都道府県知事にあっては主務大臣である建設大臣、市町村長にあっては都道府県知事及び主務大臣である建設大臣の指揮監督を受けなければならない(地方自治法一五〇条)。

これを本件についていえば、いわゆる準用河川である池子川の管理は国の事務であり、原告は国の機関委任事務として池子川の管理を行っているというべきである。

2  ところで、原告は、地方公共団体の長が国の機関と比べて独立した地位を有すること、及び職務執行命令訴訟制度がとられていることを理由に地方公共団体の長は機関委任事務の処理につき国に対して独立した地位を有するので、原告は、いわゆる準用河川である池子川の河川管理につき被告とは独立した地位ないし利益を有する旨主張する。

しかし、国の機関委任事務について職務執行命令訴訟制度が設けられているのは、地方自治の本旨の尊重の観点から、地方公共団体の自主独立性と国の指揮監督権との調和を図るため、国等の代執行権、罷免権という強力な権限の行使の場合のみ、その行使方法に一定の制約を課したにすぎず、地方公共団体の長が、機関委任事務の処理にあたり、国の機関であり、かつ、国の指揮監督を受ける関係にあることを否定するものでないことは、前記機関委任事務の性格、国の指揮監督の方法内容に照らし明らかである。

したがって、地方公共団体の長は、機関委任事務の処理につき国に対し独立した地位ないし利益を有するものではなく、原告の前記主張は到底採用することができないものというべきである。

三原告と被告の法律上の関係

1  前記のとおり、原告は、国からの機関委任事務である池子川の河川管理を国の一機関として行うものであり、他方、被告は、本件工事の事業主体であり、被告の一機関である横浜防衛施設局長が本件工事を実施しているものである。

ところで、河川法九五条、二〇条によれば、国が事業主体として河川工事等を行うにあたっては、事前に河川管理者と河川工事等を実施する国の行政庁との協議が成立することを要するものとされているところ、このことから、原告は、本件の場合原告の管理権限は事業主体としての国に対しても及ぶので、原告は監督行政の主体であり、被告は原告の監督行政に服すべき事業主体であるとして、両者は法律上の性質を異にする独立した二つの法主体間の関係である旨主張する。

2 しかし、同法九五条は、河川管理者の承認を必要とする通常の場合(同法二〇条)に対する特則を定めたものである。そして、その趣旨は、河川管理権は本来国に帰属するものの、国はその管理権限の行使を河川管理者に専属的に付与したものである以上、河川管理以外の事務を執行する国の行政庁が河川管理者の意向を無視して同法上の承認を要する行為に係る事務を執行することはできないものであるが、河川管理の事務と河川管理以外の事務を執行する国の行政庁の事務は共に国家意思を淵源とするものであるから、申請に対して一方的に決定を下す承認という概念で律するのは適当ではないので、双方の意思を積極的に出し合って協議をし、その結果合意された結果に応じて国が同法二〇条所定の承認を要する行為を行うことのできる地位を取得することとしたのである。

これを本件についてみれば、池子川の河川管理者である原告と本件工事を実施する横浜防衛施設局長も共に国の一機関としての立場にあって、その双方の事務は共に国家意思を淵源とするものであり、双方の意思を積極的に出し合って協議をすることが予定されているというべきである。

3 したがって、右趣旨に鑑みれば、右両者に見解の相違に基づく対立が生じた場合にも、一個の法主体内部の紛争として、その解決は、行政内部における調整により、最終的には国の行政権の属する内閣の責任と権限により図られるべきことが予定されているものと解すべきである。

以上より、原告の右主張を採用することはできない。

四以上のことから、本件訴訟にかかる紛争は、いずれも法律上固有の利益をもって対立する独立した当事者間の紛争ということはできず、本件訴えは、いずれも裁判所が審判すべき法律上の争訟にあたらないというべきである。

第二以上によれば、本件訴えは、その余の点について判断するまでもなく、不適法であるから、いずれもこれを却下することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官永吉盛雄 裁判官宇田川基 裁判官浦野真美子)

別紙<省略>

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